宇宙は滅びかけていた。

 その全てを説明するには時間が足りないから、今は説明を省くとする。

 人々の知能や異能は高まり、更なる進化を遂げた存在になっていた。

 その象徴として頭部に生えた立派な一本角は、強い力を持った人間の証だった。

 

 最早、滅びを待つだけの地球のコロニーで少年は檻の中の少女に向き合う。

 少女は卵を抱いている。暗く黒く星のように輝く新たな宇宙の卵を優しく愛おしく抱いている。

 そうだ。新たな宇宙を創るために、宇宙の卵の依り代として少年の妹は選ばれたのだ。

 

「    」

 

 彼女は何かを少年に向けて叫んでいる。

 叫び、苦しみ、耐えながら。だけどその慟哭に少年は答えることができない。

 音も通さない檻の中、彼女は新たな宇宙を想像しなければならない。

 一人、虚しく、自分に向き合わなければならない。

 

 ごめんごめんといくら謝ってもその言葉は彼女には届かない。

 

 宇宙が滅んで人間が滅ぶまであと僅か。

 新たな宇宙が生まれるのもあと僅か。

 

 今更滅ぶも生きるも意味があるのか、少年にはわからなかった。

遺物

 遺物

 


1.遺物

 ユースティアには異界から様々なモノが流れてくる。その中には特異な性質を持った道具も存在する。それが遺物、アーティファクトである。

 界陸が誕生する以前の世界で作られ、遺跡と共に残る古代遺物と、異暦以降でゲートから出現する異邦遺物の二種に分けられてはいる。

 


2.古代遺物

 五つの界陸は六元界の残骸であり、それらが元々の世界であった時に作られた道具達が古代遺物と呼ばれる。

 界陸毎に大まかな特性が分かれており、その多くは、現在の技術でも再現可能であり、実用品として必要となることは少ない。

 また、ユースティアの歴史を探るための歴史的価値のある資料となったり、美術的な価値があるとされ、高額で取引される場合もある。

 界陸毎に天魔遺物、機甲遺物、龍空遺物などと呼称される。

 


3.異邦遺物

 異暦以降、ゲートの影響で出現する遺物。様々な世界のモノがくるため、素材や性質、能力は多岐にわたる。

 一概にまとめることはできないが、ユースティアに渡ることで、より強い力を持つとされており、実用できれば強力な道具となりうる。

 しかし、元々は異質なものであり、本来の能力から大きく変質する可能性もあるため、危険性も大きい。

影の派閥

影の派閥

1.成り立ち

 異暦95年発足。

 アズマ出身の人間、ナゼを派閥の王とした派閥。

 VICE内ではゲドウィンに代わり、四天王と数えられるナゼだが、その存在感は派閥とその王、共に無いに等しく、謎が多い。

 シルバリオスの勧誘により、VICEへ加入することになったナゼだが、その実力は四天王に匹敵し、更にはその上を超える可能性を見たシルバリオスは派閥を設立することをナゼに要求する。

 設立したはいいものの、派閥の加入条件が厳しすぎるため、影の派閥の構成員は100にも満たないと言われている。

 


2.構成員

 ナゼが自ら身辺調査を行い、実力、人格を精査する。

 お眼鏡に叶えば、死ぬか派閥に入るかの二択を迫る。当然ながら、断ったものは例外なく死んでおり、この世から無かったことにされている。

 派閥に入る条件は、レベルAを超える実力、自分の存在がユースティアから無かったことにされること、現世において任務外での影響を与えないことなどが決められる。

 これらはナゼの術により、強制されることになっているため、並みの実力では逆らうことはできない(というより、逆らうことができる人間は配下に加えない)

 構成員内での交流は可能である。

 また、魔法少女の悪口を言わないというルールもある。

 


3.ユースティアでの活動

 彼等自身が侵略行為を主導することはなく、高難度な暗殺や諜報などを他の派閥から請け負う。

 新興の派閥ということもあり、扱うことを煙たがる者もいるが、実力は確かであるため、活躍する場は増えている。また、依頼者は少なくとも古参の幹部か派閥の王自らであり、その存在はひた隠しにされている。

 情報が漏れれば味方でも容赦なく消すという影の派閥の方針があるためである。

 

無象世界ユースティア

 無象世界ユースティア

1.何もなく、一つの大地があるだけの世界

 ユースティアは広がる大地に人間のみが存在する世界であった。

 他の世界に比べれば特異な点は少なく、特徴を一つ挙げるとするならば、とにかく広大であるということ。

 そして、何もないゆえに異物を受け入れやすく、他の世界との融合を容易とした。

 


2.ユースティアの時代

 六元界と融合するたびにユースティアの界神であるジエルにより暦は変えられてきた。

 以下の順で暦は切り替えられた。

 


・無象暦

 広大な土地に疎らに人間が住む平和な時代。

 


・龍空暦

 次元喰らいの活性化により、崩壊したオルテラの一部がリーベルタースとして出現。

 また、この時にユースティア全土は海に飲まれてしまい、本来のユースティアの土地は次元喰らいの封印のために、海底深くへ沈んでしまう。そのため、リーベルタース界陸と広大な海のみとなる。

 


・七霊暦

 ラグナロクにより滅んだイグトラシアの一部がマギーア界陸として出現。また、七つの地の残骸が各地に散らばり、小さな島やリーベルタース界陸の気候や地形にも変化を及ぼし、後に出現する界陸の環境にも影響を及ぼすことになる。

 また、ギンヌンガと呼ばれる七つの地を分けていた壁が、界陸間を隔て各界陸のバランスを取るための結界へと変化した。

 


亜人

 ハオウに滅ぼされたレギンアースの一部がパンタシア界陸として出現。

 また、数多の種族が集まるレギンアースの世界法則がユースティア全土に影響を及ぼし、類似した種族の性質がより近づきやすくなり、類似種であれば生殖なども可能となった。

 


・機甲暦

 ゲドウィンに滅ぼされたデルクルドの一部がゲオメトリア界陸として出現。

 特異な物質の発生により、科学の発展が容易になり、技術や文化のレベルが世界的に上昇する。

 また、機械などの完全な人工物が生まれながらに生命としての人格を有するなど、人工物に対する姿勢に影響を及ぼした。

 


・天魔暦

 シルバリオスに滅ぼされたヴァンガイアがノルフェイン界陸として出現。

 元いた種族に秩序と混沌の概念がつくことにより、種族間の関係が歪んだ。それまで、平和な交流を築いていた種族でも、相容れない存在となることで、争いが生まれるようになる。

 また、アビスと呼ばれる穴が各地で出現し始める。特にユースティアの原初の大地の一部であったアズマの近辺にできたアビスは、世界一つを飲み込むほどの大きさである。

 


・異暦

 全ての六元界が交わり、かつニルベステニアの崩壊により界陸間の障壁が消滅。そして、異界からユースティアにつながる一方通行のゲートの出現により、混沌を極める。

 因果の超極地集中により、ユースティアに住むモノは凄まじい成長力を遂げるようになる。

天魔世界ヴァンガイア

 天魔世界ヴァンガイア

1.天と地と魔の世界

 天界、地上界、魔界の三つに分かれており、それぞれの思想や理念により、争いを続けているとされる。

 天使や悪魔は直接争うと世界が滅びると言われているため、地上界で人間と契約を交わし、能力を制限した状態で戦いを行う。

 


2.種族

 


人間

 何の力も持たない凡庸な種族。ただ、地上界で最も繁栄しており、その感情を糧とする悪魔や天使につけ狙われている。

 彼ら人間が作る歴史には悪魔や天使の存在は欠かすことができない。

 


天使

 金色の体毛、青い瞳、白い翼を持つ。秩序、協和などの属性を持ち、人間に対してもそれを強要する。

 


悪魔

 銀色の体毛、赤い瞳、漆黒の翼を持つ。破壊、混沌、孤高などの属性を持ち、それらで人間を陥れることを好む。

 


3.勢力

天界

 秩序と善を尊ぶ天使達が集う。他者を慈しみ、全てのモノの調和を求める。

 天使と呼ばれる種族が治めており、度々地上界に降りては人間に規律や調和を求める。

 絶対的に悪魔を敵視しており、悪魔と少しでも関わりを持つ者を正義の名の下、殺したりする。秩序のためならば手段は選ばない。

 

魔界

 混沌と悪を望む悪魔達が巣食う。他者を気にせず、己の欲望のために動く。

 悪魔達は地上界に這い上がり、人間の欲望を解放させる。その結果、莫大な富や武力を手に入れるものもいれば、破滅の運命を辿るものもいる。

 特に優れた悪魔は魔王とも呼ばれ、地上界を越えて天界にすら侵攻を及ばしたという。

 


地上界

 数多くの人間が存在する。また、人間の感情を食い物にする天使や悪魔も多少存在する。

 天使に従う者、悪魔に従う者、人間に従う者、それぞれの思想や理念により対立している。

 


4.崩壊するヴァンガイア

 VICEが組織されて以来、本拠地として扱われたヴァンガイアだったが、不要になったためなのか、シルバリオスの手により破壊される。

 破壊されたヴァンガイアの残骸はユースティアに流れ着き、ノルフェイン界陸へと姿を変えた。

機甲世界デルクルド

 機甲世界デルクルド

1.鉄と油の人々が住む世界

 世界統治AIにより、統治される人造生命体の世界。

 世界の中心にある塔の発展(遺伝子、あるいは基底プログラムに組み込まれている)を目指し、彼らは日々、技術の向上に努めている。

 感情より合理を求めるものが多く、個人の意見は通用しない。

 


2.種族

 主に三つ。

 


タイプB

 水やタンパク質、カルシウムやリンなど、他の世界でも見られる形質を持つ人造生命体。

 ただ、彼らは繁殖能力を持たず、パーツの入れ替えも頻繁に行わなければならない。

 しかし、彼に彼らが保有する超自然的能力の研究のために、高いコストが支払われて製造が行われている。

 


タイプM

 全身が機械でできており、血肉などを一切持たない者たち。

 寿命はメンテナンスを繰り返せば、無限に続くが、世代が進むと性能が見劣りしていくため、廃棄される運命にある。

 デルクルドにおいて、最も一般的な存在であり、最も自意識が希薄。

 


タイプE

 ネットワークの中を生きる電子生命体。

 実体は持たず、データのみの存在である。

 情報管理のために世界統治AIの手で自ら作られている。

 様々な情報に触れるため、感情表現は多様であるが、それが単なる模倣であるか、感情であるかは不明。

 


3.勢力

 世界統治AIに連なるものたちと、それに抗う者達の二つにわかれている。

 反抗者達は欠陥品と呼ばれており、日夜その身を追われることとなる。また、彼らは世界統治AIの破壊を目論んでおり、【人間】らしい生き方を世界にもたらそうとしている。

 


4.崩壊するデルクルド

 塔の完成間近で異世界のゲートが開き、邪神ゲドウィンがデルクルドの地に降り立つ。

 ゲドウィンはデルクルドの文明という文明を破壊。

 崩壊したデルクルドは度重なる環境汚染を防ぐ術を無くし、緩やかに自壊した。

 ユースティアに流れ着いたその残骸はゲオメトリア界陸へと姿を変えた。

 

亜人世界レギンアース

 亜人世界レギンアース

1.あらゆる人種が集う世界

 各種族がそれぞれの国を築き、交流や争いを行い続けるレギンアースには、様々な人種が存在する。

 普通の人間種はもちろん、エルフやドワーフなど土地に生きる精霊種やフェアリーやゴブリンなど人の想像の感情により生まれる妖魔種、ゴーレムやホムンクルスなど、無機物が意思を持ち動き出した機巧種など、実に様々な種族が混在している。

 この世界では魔法が発展しており、様々な魔法の体系が存在する。

 


2.各種族の国々

 レギンアースの大半の国は、ある程度一つの種族や似たような種族でまとまることが多い。

 文化的な交流は未熟と言わざるを得ないため、種族間での価値観に大きく差異が存在する。

 


3.種族

人間種【ヒューマン】

 レギンアースで最も数の多い種族。能力も平均的で身体的な特徴も特にない。

 が、数が多く、他の種に触れる機会も多かったためか、様々な文化や技術を吸収することに成功しており、侮れる存在ではない。

 


森人【エルフ】

 森の民とも呼ばれる精霊種。体はしなやかで美しい容姿を持つ。持ち前の高い魔力を生かした白魔法や剣術や弓術のレベルも高い。

 排他的でプライドの高い種族であるため、他の種との交流は少ない。

 


山人【ドワーフ

 男性は低い背丈にがっしりとした筋肉を身につけ、豊かなヒゲを蓄えている。人間種の子供のような姿をしているが、ヒゲが生えている。

 魔法は得意ではないが、力は強く手先が器用であり、鍛治や建設など物作りに関しては優れている。

 基本的に大雑把ではあるが、物作りに関しては様々なこだわりを持つ。

 

犬人【コボルト

 犬の人。

 ちょうど犬が二足歩行で立ったような見た目をしている。

 他の種族の奴隷や従者として扱われることが多い。

 


猫人【ケットシー

 猫の人。

 猫が不思議と二足歩行をしている様子。

 犬に比べれば頭は回るが、扱いは大体同じ。

 獣人の多くは、隷属種族として扱われるが、それに関しては賛否両論ある。

 


魔人【デモン】

 レギンアースにおいて、最も血の気が多く、争いを好んでいる種族。

 人の悪感情を好む妖魔の多くがこれに分類される。

 ゴブリンやオーガなど、相手に威圧感を与える見た目をしているものが多い。

 また、多くのものは黒魔法を扱うとされる。

 


他もあるけど割愛します。

基本的によくある感じのファンタジー世界のイメージですね。

 


4.滅びるレギンアース

 魔人種の王、つまり魔王がレギンアース全土を巻き込んだ戦いが行われる最中、突如としてハオウ率いる魔の派閥が出現。

 魔王を首を真っ先に飛ばし、各種族の勇者も皆殺しにした後、レギンアース全土を支配する。

 その後無残にもシルバリオスの命により、レギンアースはハオウの手により破壊される。

 その残骸はユースティアに流れ着き、今のパンタシア界陸へと姿を変えた。